次期当主 星加 裕史
YUJI HOSHIKA
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『 理念を道標に、長く続けていく 』
次期当主星加 裕史
四代目の長男として生まれた私は、四代目と同様に、子どものころから家業を継ぐと決めていました。それ以外の選択肢を考えたこともなければ、家業を継ぐことに不安や不満もありませんでした。大学を卒業後、製菓技術専門学校へ進み、基本的な菓子作りの技術を学んだ後、家業に入りました。それは、ちょうどドイツ菓子の店「ブランデンブルグ」が大盛況の時代。私は洋菓子部門でスタートを切ったのです。
親の経営する店しか知らず、洋菓子の修行もしていない、このままの状態ではいけない。店を職人さん任せにしてはいけない、代々の当主がそうであったように自らが技を持つ職人でなければいけない。働き始めて1カ月ほど経ち、そんな思いがあふれてきました。四代目の「不易流行」の姿勢に触れれば触れるほど、新しい技術や趣向に挑戦できる力を養うことが必要だと考えたのです。「他店で修行したい」と嘆願し、洗練された味とデザインのケーキが大人気だった松山市の洋菓子店で修行をさせてもらうことになりました。
ゆべし作りや和菓子に目を向けていなかったわけではなく、洋菓子の修行を終えたら、四代目から星加の技と味を学び、守るという覚悟を持って踏み出した一歩でした。
ゆべしから学んだ、良い菓子づくりの基本
修行を終え、当店に戻ってからは、洋菓子店で学んだ技術を生かし、「ブランデンブルグ」で多彩なケーキや焼き菓子を創作しました。東町店がリニューアルオープンしてからは、すべての洋菓子商品を私がつくっています。そして、四代目と一緒に和菓子作りを行い、餡の炊き方やゆべしの作り方もじっくり教わってきました。
ゆべしの製造工程には、良い菓子をつくる基本があります。いい素材を厳選すること、手間をかけ一つ一つ丁寧な作業を重ねて仕上げること、レシピでは伝えきれない繊細な状態や加減を五感で確かめながらつくること。これらを怠らず、お客様に喜んでいただける菓子づくりに向き合い続けたいと思います。
理念を道標に、長く続けていく
時代の変化は速度を増し、お客様のニーズの多様化も進んでいます。これから先、昔ながらの技や味を守っていくには、これまで以上に力を尽くすことが必要でしょう。何をどうしていけばよいのか、その答えは創業当初の理念「原理原則を守る。儲けよりも信用を。怒らず人を許す心で。何事も腹八分目で。お金は借りない貸さない。」にあると考えます。先代達が培ってきた伝統を踏まえ土台をしっかりさせて、無理をせず、信用第一の経営で、長く続けていくことをめざします。
三代目は大変な勉強家でした。そして四代目はアイデアマンです。私も自分の持ち味を出しつつ、店の魅力を拡げていきたいと考えています。これまでのお引き立てに対する感謝を忘れず、変わらぬ味を届けます。さらなる質の向上、そして四代目から学んだ和菓子の技と、洋菓子の手法の両方を生かした新商品の開発にも取り組みます。
「お気に入りの味」とお客様から親しまれる、暮らしのなかにほっとする時間を運び、お客様の笑顔が生まれる菓子づくりに励みます。